患者主導の医薬品開発のためのパレクセルのソリューション
患者主導の医薬品開発には、患者支援者との30分以上の面談や、ウェブサイト上での意欲をかき立てられるような文章以上のものが必要です。 それは開発の初期段階から始まり、その後のほぼすべての意思決定に影響を与える体系的なアプローチです。 弊社の患者支援部門は、スポンサーが患者さんのインサイトを活用し、複雑化する償還環境に対応し、リスクを軽減し、患者さんに適切な利益をもたらす商業的に実現可能なプロダクトを開発できるよう支援します。
By Vera Zheng, Senior Vice President, Asia/Pacific Strategy and Head of Greater China, Parexel International
Published on: Jul 8, 2025
8 min
臨床試験のデザイン、参加に対する患者さんと医療従事者の考え方についてパレクセルが実施した調査結果
中国の臨床試験では参加募集と参加継続が課題となっており、研究者はウェアラブル機器や訪問看護など、分散型試験 (DCT)のためのツールや技術の導入に遅れをとっています。
これらの問題を調査するためにパレクセルは中国において、患者さん20名、臨床試験の実施に関する基準の遵守責任者24名、治験責任医師 (PI)、社内および社外の臨床研究コーディネーター (CRC)を対象に定性調査を実施。また患者さん76名と介護者さん9名を対象に定量調査も実施しました。
治験募集においては治験情報へのアクセスが限られていることや、特定の治験の内容に関する誤解、代替治療の選択肢、治験間の参加者獲得競争の激化、厳格な組み入れ基準に対するスクリーニング脱落率の高さ、患者さんが治験から利益を得ることに対するご家族や介護者さんの信頼度の低さなど、多くの課題が明らかになりました。
参加継続の課題としては、転帰不良や有害事象への不安、ご家族や介護者の信頼の欠如、介護者へのサポート不足、治験実施施設への想定外の来院頻度、PIまたはCRCからのサポートとコミュニケーションが不十分であることなどが挙げられます。
患者さんは一人ひとり異なり、治験に対する期待や参加への障害もそれぞれ違います。弊社では患者さんをクラスタリング手法を用いて共通の特性ごとにグループ分けし、臨床試験に対する3つの異なる考え方を明らかにしました。
このセグメントの患者さんは、臨床試験を生命維持のための最後の手段と考えています。疾患負担が重く、自身の疾患を非常に重篤なものと認識しています。病状に関連する障がいを抱えている場合もあります。全体的に見て世帯収入と教育水準は、比較的低い傾向にあります。
このセグメントの患者さんは、自身の疾患に関する知識が豊富で、最適な治療法を積極的に探し求めています。疾患の重症度は中等度で、病状に関連する障がいを抱えている場合もあります。教育水準と世帯収入が高く、臨床試験に関する情報へのアクセスも容易である傾向にあります。複数の募集情報を検討しています。
このセグメントの患者さんは、治験の機会について知りたいと考えており、現在受けている治療法よりも優れた治療法を探求する意欲があります。疾患負担は比較的軽く、疾患の重症度は比較的軽度または中等度と認識しています。病状に関連する障がいを抱えている場合もあります。世帯収入と教育水準はさまざまです。
患者さんが治験に参加する最も重要な動機は、自身の病状に対する治療法を見つけることであることがわかりました。患者さんは多くの場合、他に選択肢がない状況、あるいは治験が既存の治療法よりも優れた選択肢である状況に置かれています。その他の動機としては、医療の発展に貢献することや報酬を得ることなどが挙げられます。
治験に参加する主な理由は、各セグメントによって微妙に異なります。「切実に助けを求めている」患者さんの62%は、参加することに決めた治験が最後のチャンスだと考えています。「積極的に治験を探している」患者さんの76%は、治験が自分の病状に最も適していると考えています。一方、「冷静に治験を観察している」患者さんの81%は、治験は現在の治療よりも優れた治療法を試す機会だと考えています。
3つの患者セグメントにおける治験参加への障害 (図1)
参加を妨げる障害はセグメントによって異なります (図1)。全体的に見て最も大きな障害は、患者さんが治験の存在を認識していないことです。次に治験依頼者が明確なガイダンスを提供していない場合、患者さんは治験への登録プロセスを理解するのが難しい場合があります。そして患者さんが治験の有効性と安全性について、懸念を抱いている可能性が挙げられます。
患者さんにとって最も重要な意思決定ポイントは登録です。医療提供者、治験責任医師、または臨床研究コーディネーターによる肯定と安心感、ご家族や友人からの精神的なサポート、治験薬に関する肯定的なオンライン フィードバックは、患者さんに良い影響を与える可能性があります。
治験における多様性と包括性は、アクセスの不足によって悪影響を受ける可能性があります。遠隔地に住む患者さんは治験機会へのアクセスが限られているため、そもそも治験対象とならない場合があります。障がいのある患者さんは治験活動への参加から排除されたり、治験活動を遵守するのが難しい場合があります。また、少数民族の患者さんは人口規模が小さいことや言語の壁があることから、必然的に治験から除外される可能性があります。
治験依頼者は患者さんの医療センターへの移動を減らすことで、これらの障壁を克服し、参加率を高めることができます。患者さんは治験実施施設への移動が不要になる利便性を重視しており、治験実施施設のステークホルダーはその利便性は遠方に住む患者さんにとって有益であるだけでなく、参加継続にも役立つと考えています。すべてのステークホルダーは実用的である限り、治験参加者募集と遠隔データ収集のための遠隔ソリューションを支持しています (図2)。
しかし、ステークホルダーはDCTの導入を阻む懸念事項を抱えています。患者さんと医療従事者は、対面でのコミュニケーションの欠如、限られた個人的な接触、プライバシー侵害のリスクについて懸念を示しています。患者さんは遠隔検体採取や在宅医療サービスに慎重な態度を示しており、医療従事者は規制遵守、コミュニケーション、プライバシーについて懸念を抱いています。さらにDCTソリューションを規定する正式な枠組みの欠如が、一部の病院にとって障害となっています。
ステークホルダーはDCTの導入を阻む懸念事項を抱えています。患者さんと医療従事者は、対面でのコミュニケーションの欠如、限られた個人的な接触、プライバシー侵害のリスクについて懸念を示しています。
分散型臨床試験ツールに対するステークホルダーの関心 (図2)
患者セグメントごとに募集と参加継続に関する懸念事項が異なるため、それらを改善するための最善の戦略も異なりますが、全体として募集において最も重要なのは、治験についての医療従事者 (HCP)の認識を高めることであり、患者さんに対するHCPの影響力を活用することです。治験依頼者はウェブサイトやWeChatアカウントなどの病院関連のチャネルで、治験情報をより目立たせることもできます。また、募集専門プラットフォームで包括的な治験情報と分かりやすい選択基準を共有する必要があります。さらに、オンラインの患者コミュニティで、患者さんの成功事例の共有や治験情報の交換を促進することもできます。
参加を継続させるには、特に介護者による十分なサポートがない患者さんに対して、障がいや距離の問題を克服するために、配車サービスや補助金などの具体的なロジスティクスサポートを提供することが重要です。トップクラスの医師による特別な医療サービスを通じた参加者との緊密な連携、参加者の日常生活への影響を最小限に抑えたスケジュールでの治験プロセスの最適化、デジタルプラットフォームやCRCを活用したコミュニケーション ニーズに対応することも重要です。
また、すべての患者さんやセグメントが同じではないことを忘れないでください。「切実に助けを求めている」患者さんが最も必要としているのは、支援を受ける機会です。「積極的に治験を探している」患者さんは、HCPの影響を最も強く受けます。「冷静に治験を観察している」患者さんは、治験の進捗状況、結果、将来の研究に関する情報を常に把握しておくことを最も重視しています。
患者セグメントごとの参加を妨げる主な障害は以下のとおりです。
Contributing Expert
患者主導の医薬品開発には、患者支援者との30分以上の面談や、ウェブサイト上での意欲をかき立てられるような文章以上のものが必要です。 それは開発の初期段階から始まり、その後のほぼすべての意思決定に影響を与える体系的なアプローチです。 弊社の患者支援部門は、スポンサーが患者さんのインサイトを活用し、複雑化する償還環境に対応し、リスクを軽減し、患者さんに適切な利益をもたらす商業的に実現可能なプロダクトを開発できるよう支援します。