予防策:段階に応じたCMCロードマップをデザインする
CAGTの開発者は、「製品の有効性がわからない段階で、なぜ早くから化学、製造、品質管理 (CMC) に多額の投資をしなければならないのか」という問いに悩まされます。投資家から圧力を受け、資金不足に頭を抱え、開発スピードを早める規制の状況下では、あらゆる判断において時間とコストのバランスを考えなければなりません。しかし、CMCにおける小さな妥協や食い違いが、後々大きな問題へと発展することがあります。
たとえば、新興企業はしばしば適切な力価試験の選定、適格性評価、検証に苦戦することがあります。CAGTの規制当局は、一貫して測定可能な品質特性を持つ製品の製造工程を証明することを求めるため、これらは極めて重要なポイントとなります。また、開発の過程で治験依頼者が製造工程を変更することは避けられませんが、その場合、市販製品が治験で使用されたものと同等であることを示す証拠を当局に提出する必要があります。
典型的なケースとしては、企業が学術機関から技術のライセンスを受ける形があります。たとえば、博士研究員があるアッセイを開発し、データを発表したとします。しかし、査読付き雑誌に掲載されたアッセイが、必ずしも現行の適正製造基準 (CGMP) に準拠しているとは限りません。開発者がアッセイの再現性に問題があることに気付いたにもかかわらず、その問題に対処せずに開発を進める誘惑にかられることもあります。製造工程の各段階は密接に関連しているため、このような判断ミスには、悪影響をもたらす可能性があります。
パレクセルではCAGTのお客様に対して、段階に応じた力価試験を構築するようアドバイスしています。製品の重要な品質特性を段階的に特定し、機能試験から細胞ベースの試験へと進めます。第I相試験では、製品の作用機序を完全に反映した生物学的試験を構築する必要はありません。ほとんどの場合、導入遺伝子によるタンパク質発現のような活性を合理的に保証する機能を測定する試験で十分です。弊社ではFDA要件に関する知見を基にギャップを分析し、製品特性評価のタスクを「すぐに対応が必要なもの」と「2年後でも対応可能なもの」に優先順位付けします。
CMCの問題に対する答えは、必ずしも早期開発、コスト増、期間延長ではありません。少しの追加の努力と、より戦略的に取り組むことで、効率的に乗り越えることができます。規制当局の期待に沿ったタイムラインを含むCMCロードマップを作成することは、賢明な判断です。CAGTの場合、第I相試験からそのまま重要な有効性・安全性試験に容易に移行できるため、製品の特性評価や製造の改善に要する時間は、他の治療法よりも少ない傾向にあります。CMCのロードマップと綿密な計画的アプローチは、成功を左右する決定的な要因となる可能性があります。